多分、世界初となるイバラエイ皮革のスマートフォン背面カバーが先日完成しました。これは私用に。
以前は背ワニのテール部分のを使っていましたが、携帯は身近に持つアイテムなので世界レベルでインパクト&極レアな素材で上手く表現したいなと思って考えて製作に踏み切りました。もちろん他社では真似が出来ないレベルまで持っていこうと言う意味でのテスト第1号と言う意味もありました。挑戦(テスト)するなら自分用が気持ち的にも大胆になれるからです。
この世にまだないモノ作りは勢いも大切ですが、製作前に色々な事をイメージをして失敗しない為にはこう加工するべきだろうとか、工程の順番を考えたり色んな事をイメージして慎重かつ大胆に製作を進めていきます。
※製作途中の写真は時間都合上、社外秘も含め割愛させて頂きます。
荊(イバラ)と言うだけに、皮の表面は(生きている時は)針で覆われています。皮を革にするには平にしなくてはいけないので、その針を削り落とし、革になります。その針を落とした断面が“星” “★”の様に見える事から別名スタースティングレイとも言われています。
また断面が梅の花の様に見えると言う意味で別名、梅花皮(カイラギ)とも言われています。
イバラエイもエイの仲間なので、ガルーシャと同じく表面は堅いリン酸カルシウムで覆われています。通常のガルーシャよりイバラエイは硬いので加工出来る(フルオーダー依頼を受ける)ところはあまりありません。イバラエイは世界レベルで一番希少価値が高い皮革です。クロコダイルより3倍~8倍の価格です。
イバラエイやガルーシャの表面を覆っているリン酸カルシウムとは人間の歯や骨と同じ素材です。そうすると加工にはかなりの労を費やさないと曲げたり革と革をツライチで合わせたりするには、経験値だけではクリア出来ない事も多くあります。使う工具などもイバラエイ(ガルーシャ)専門工具なども売っていないので自分で考えて海外や国内のメーカーにオリジナル工具を別注したりしています。
これを初めて見た人は必ず
「何の革か分かりませんが、凄い革なんだろうなって思います」
「人より革は詳しい方ですが、これは今まで見たことがありません」
「これガルーシャですか?でもこんな柄のガルーシャは見たことがありません」
「全く革は詳しくありませんが、絶対物凄く珍しい革なんだろうなと思います」
「これはなんの革なんですか?触ってみて良いですか?」
など、イバラエイに皆様興味深々でした。
あえて右側の側面には、石が抜けているところをデザインの様に雰囲気良く入れてみました。
私用なので単調なデザインに成らない様に。
基本石がないところは、私はあまり良く評価しませんが、こうやって端に入れて表現すると、逆にカッコイイと思ったのでやりました。またお客様に説明する時にも理解してもらう様にと言う意味も入っています。もちろんお財布とか作る時は、綺麗にオール石ありが評価(レア度)としてはパーフェクト(エクセレント)です。
スマホカバーはイバラエイには的さない難しい形をしています。見た目は簡単そうに見えますが形状に加工するのには時間を要します。
コバもどこにも負けないレベルで仕上げています。同じところを300回以上は磨きました。
塗る、乾かす、磨くの繰り返しで綺麗に仕上がるコバ仕上げは2週間程かけています。
このコーナー部分は少しだけ隙間が生じてしまいましたが、ハイエンドカメラ×ハイエンドマクロレンズで撮影しているので、肉眼では良く見ると隙間が生じている程度です。これも一発勝負なので難しいところでもあります。イバラエイの裏鋤きも革包丁で1000回以上手探りと手作業で出来る限り薄くする為に削り落とします。手作業ではないと場所場所で革が薄い厚いところがあるので確認しながら鋤いていかなければなりません。全ての作業工程を考えただけでも他社はなかなか真似出来ないと思いました。しようともなかなか思わないと思います。
カメラ、指紋認証部分の切り目部分はあえてコバインクを塗らず、イバラエイの断面を鑑賞出来る様に。
イバラエイの石の断面は美しく鑑賞出来るので、丁寧かつ綺麗に加工しました。
イバラエイの断面を鑑賞できる様に加工しようと試みるのはFULLBRIDGEだけかと思います。
左側のところはスマホの形に皮革を曲げると、石がタップリ入っているので、曲げたところの石の角が出っぱってしまうので、形に合わせて石を削り何度も何度も手で触って確認しては削り、徐々に自然な丸みになる様に仕上げていきます。丸めないと尖った石先で洋服を傷つけたり、皮膚を傷つけたり傷めてします。